チーム全体の投打成績はよくなくても首位争いをするロッテの強さを教えます/デーブ大久保コラム

チーム全体の投打成績はよくなくても首位争いをするロッテの強さを教えます/デーブ大久保コラム

 プロ野球も折り返しを終え、残り50試合を切ってきました。セ・リーグは巨人が独走状態、一方で、パ・リーグはソフトバンクがモタモタしているというか、ロッテがすごくいい戦いをしているというか……この2チームに楽天が入ってきて優勝争いを行っています。

立浪和義コラム「ロッテ躍進は続くのか」

 私のパ・リーグの順位予想を覚えていますか? 1位・ソフトバンク、2位・楽天、3位・ロッテ。今のところAクラスは当たっています。結果が出ているから、何とでも言える、という方もいると思いますが、そう言われても仕方ないですね。でも、その根拠は以前にこのコラムでも少しお話ししたと思いますので、読者の皆さんは思い出していただけると思います。

 ということで今回は、ソフトバンクに互角以上の戦いをしているロッテについて話します。このチーム、はっきり言って戦力が足りません!

 四番も粗削りで、経験を積み始めた安田(安田尚憲)が入っているくらいですから。つまりロッテが今季強いのは、井口(井口資仁)監督を中心としたコーチングスタッフが非常に素晴らしいからなのです。

 まずは井口監督。彼の日米の実績は誰もが知るところ。ここに加えメジャーの指導法も知っている。つまりメジャー流は指導面で結果論を語らないということです。メジャーでは結果論だけでコーチングをするコーチはクビになるというくらいですから、常に先を見据えた指導法をしています。つまり、結果にとらわれないさい配と、選手たちに結果を求めない指導をしているのです。

 首脳陣が結果を求めないと選手が積極的な攻撃や守備ができます。さらに、もし失敗しても首脳陣が選手を責めるようなことがないため、信頼関係ができていく。そうなると試合に臨むモチベーションが上がっていくのです。

 結果を求めないから、負け試合も割り切れる。今季のロッテは打率が2割4分台で防御率4点台。さらに得点よりも失点数が多い。それでも9月7日時点で1位ソフトバンクと0.5ゲーム差の2位で貯金10もあるんです。なぜこういうことが起きるのか。デーブ的分析では、井口監督の中に、0対1で負けても0対11で負けても同じ敗戦「1」という考えがあるのだと思います。

 監督をしていたら、どうしても敗戦濃厚となったときも、最後まで負けないさい配をするものなのです。しかし、リーグ戦では、負けを認め割り切ることも大事。一方で、その分の力を接戦のときに使い、1点差でも逃げ切ればいいという考えがあるはずです。ただし、監督としては、目の前の試合を進めていく中で、そういう方向へ簡単に考えることは難しいのです。その考え方がしっかりできているのも、常勝ダイエーで何度も日本一になり、メジャーでもレギュラーとしてワールド・シリーズを制し、勝ち方や勝つべきチームの姿を井口監督が知っているからなのです。そして彼が選んだ参謀たちもすごいですよ。その話は次回にしましょう。

『週刊ベースボール』2020年9月28日号(9月16日発売)より

PROFILE

大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。週刊ベースボール