選手に不満を抱かせないバレンタイン監督の「選手操縦術」【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】

選手に不満を抱かせないバレンタイン監督の「選手操縦術」【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】

【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】#3

 2005年のロッテといえば、日替わり打線が知られています。主砲を4番に置かなかったり、3安打した選手が翌日はベンチスタートというケースもありました。

 普通、そんなことをすればナインから不平不満が出るものです。

 選手の起用法を決める権利は監督にあるとはいえ、結果を出しているのに外される方は面白くないでしょう。場合によってはチームが崩壊してもおかしくありません。

 それでも当時のロッテで選手から文句が出たことは、少なくとも僕が記憶する限りなかったように思います。

 理由のひとつは、ボビーが外国人監督だということ。

 日本野球のセオリーで動いていないので、選手も「まあ、外国人監督だから……」と、半ば諦めていたような部分はあったかもしれません。

 ベテランだった小宮山悟さん、初芝清さん、堀幸一さんら、1995年のバレンタイン監督第1次政権時代を経験している先輩方が、ボビーをリスペクトしていたことも影響していたでしょう。たとえ違和感があっても、先輩方が受け入れている以上、後輩は文句を言いにくいものですから。

 もちろん、それだけではありません。そこにボビーの選手操縦術のうまさがあったように思います。

 主に守備固めや代打の起用法がそうです。普段から控えの選手であればともかく、レギュラークラスの選手が大差のついた終盤に出番を与えられても緊張感は保てません。

 その点、ボビーはレギュラークラスの選手を必ずと言っていいほど「ここぞ」という場面で使っていました。例えば、負けている試合でスコアリングポジションに走者が出た場合の代打。あるいは僅差で勝っている試合での守備固めです。

 前者はどうしても点が欲しいチャンスでの起用。後者だと1点もやれないシーンです。

 これなら前日3安打しながらスタメンを外れた選手のプライドはある程度保てるし、自然と背筋も伸びる。

 スタメン落ちした選手にも、それなりの役割を与えることで、ナインのモチベーションを保っていました。

 とはいえ、ボビーのやり方すべてがナインに受け入れられていたわけではありません。

 僕も覚えている限り2つほど、ボビーの提案を拒否しました。

 それは「ブルペン投球」と「チェンジアップ習得指令」です。=つづく

(小林雅英/元プロ野球投手)