西武・栗山巧 勝利を呼ぶ「1打席」を重ねる19年目のベテラン/下位打線で光る

西武・栗山巧 勝利を呼ぶ「1打席」を重ねる19年目のベテラン/下位打線で光る

「下位という表現はやめてくれる? ウチは下位と表現しないから(笑)」。辻発彦監督が担当記者に求めたとおり外崎修汰、山川穂高、森友哉のクリーンアップに続く中村剛也、栗山巧の六番、七番コンビを『下位打線』と表現するには違和感がある。「打順を並べるとあのような形になる」と指揮官が言うように、『○番目』というのが最もふさわしいだろう。

 豪華な顔ぶれが並ぶ中、開幕から圧倒的な存在感を放っているのが、『7番目』に座る栗山だ。開幕2戦目に今季初安打を含む3打数3安打を記録すれば、翌日も3安打を放ち、2試合連続の猛打賞。7月2日のオリックス戦(メットライフ)では今季1号本塁打も飛び出し、六番に入った10日のロッテ戦(ZOZOマリン)では8回に今季2号同点2ラン。さらに、9回二死満塁では決勝の押し出し四球を選んだ。12日の同カードでも六番でスタメン出場し、3号3ランを含む2安打4打点をマーク。20試合を終えた時点でチームトップの打率.317を誇る。

 振り返ると開幕前の練習試合から状態は良かった。先の見えない開幕延期に手探りで調整を続けていただけに実戦ですぐに結果が出たことが逆に不安をあおっていたという。「もっと時間がかかる、むしろかけてもいいと思っていたので、練習試合でいきなりヒットが出ると、『間違った感覚なんかな?』と逆に考え込んでしまった(笑)」。だが、その感覚は正しかったことが証明されたということだ。

 数字だけではない。快投する相手投手から四球を奪ったり、失点直後の回に先頭で出塁したりするなど、チームに流れをもたらす“1打席”が多いこともまた、経験を重ねたベテランの妙技といえよう。

「自分が求められている役割は、“ここぞ”のチャンスで1本を出すこと。それが、今の僕にとってもチームにとっても価値があることだと思っています」。今年も背番号「1」は唯一無比の存在だ。

写真=BBM週刊ベースボール