「“どんぶらこ”の意味教えてくれ」中日の初代正捕手も外国人だった 桃太郎の歌マスターし打者に口ずさむ

引用元:中日スポーツ
「“どんぶらこ”の意味教えてくれ」中日の初代正捕手も外国人だった 桃太郎の歌マスターし打者に口ずさむ

◇4日 巨人7-3中日(東京ドーム)

 外国人捕手が1軍戦に出場したのは球団史上20年ぶりだが、実は初代正捕手はアメリカ人だった。バッキー・ハリス。本名はアンドリュー・ハリス・マゲリヤードという。大リーグのワシントンセネタース(現ミネソタツインズ)の兼任監督だった、バッキー・ハリスにあやかった登録名だった。

 プロ野球が産声を上げた1936(昭和11)年に来日。名古屋軍の河野安通志(あつし)総監督が早大時代に米国遠征の、田中斉(ひとし)球団専務が、ジョンズ・ホプキンス大に留学の経験がそれぞれあり、米国野球事情に精通していたことから入団が実現した。

 当時28歳のハリスの背番号は6。3番を任された強打者でもあり、4月29日の記念すべき球団初試合(大東京戦、甲子園)では安打を放ち、初勝利に貢献した。東大出の初任給が7、80円という時代に給与は300円。職業野球の中では厚遇だった。

 チーム42試合中39試合に出場・打率3割2分7厘、1本塁打、25打点という記録を残している。通訳などいない。日本語を覚えるために小学校の教科書を携え、仲間に「どんぶらこ、どんぶらこ」の意味を教えてくれと食い下がった。ついには桃太郎の歌をマスターし、打者に向かって口ずさんだ。「ささやき戦術」の草分けである。

 残念ながら名古屋軍は1年で退団。翌37年に新設されたイーグルスに、恩人の河野とともに移籍した。同年秋にMVP、38年春は本塁打王。戦後も何度か日本を訪れ、かつての仲間と旧交を温めた。A・マルティネスが光を当てた84年前の正捕手。異国での活躍を支えるのが、好奇心と順応力なのは当時も今も変わりない。