コロナ禍も年俸削減なしのプロ野球 オフにはまた乗り越えないといけない壁

コロナ禍も年俸削減なしのプロ野球 オフにはまた乗り越えないといけない壁

 プロ野球は7月10日の有観客開催が近づいてきたが、今季の12球団が大幅な減収となることは避けられない。政府の目安にならい10日以降は入場客は上限5000人まで。その後は8月1日からをめどとして収容人数の半分が上限となる見込みだが、ここ数年のプロ野球は多くの球場が満員となり、入場料収入を収益の柱としてきた。

 統一契約書など日本プロ野球に、不可抗力によるシーズン中断時のルールがなく、12球団は今季年俸の削減は求めないことを決めた。試合数に応じた年俸削減で合意した大リーグとは対照的だ。選手会側にしてみれば、統一契約書に従い昨オフに合意した年俸を受け取るのは当然の権利。ただし、痛みを分かち合うというよりは、今季に限ればその傷は球団側が大きく負うこととなったのは事実だろう。

 となると、その代償は今オフにのしかかってきてしまう。来季の契約交渉について日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は「今年に限った収益が落ちるのは誰が見ても分かるが、今年だけで判断するのかどうかも含めて。球団経営の数字を見せていただかないと、何とも言えないかなと」と話す。ここ数年は入場者数が増え続けて球団の収益が上昇基調にありながら、選手年俸にフェアに反映されているのかは疑問とも訴える。それらの判断のためにも、球団側へ経営情報の開示を求めているが「明確に拒否されています」という。先日公表された今季の年俸調査では、楽天、広島は平均年俸が3年連続で過去最高を更新しているが、そうではない球団も多い。西武は03年、DeNAは05年、阪神とロッテは09年など、平均年俸の過去最高が10年以上前というケースもある。

 オーナー会議は「プロ野球はかつてない危機的ともいえる状況。球団経営にとって非常に大きな問題」(DeNA・南場智子オーナー)と警鐘を響かせる。森事務局長は「実際に球団が本当に苦しいなら、選手も考えないといけない。誠実に、数字を見た上で協議していきたい」と求める。来季以降を見据えても、球場が昨年までの活気をいつ本当に取り戻せるのかは不透明。先を見れば財布の紐は開かず、ない袖は振れない。開幕の相次ぐ延期という危機にはFA日数の扱いなどで手を取り合った労使双方だが、オフにはまた乗り越えないといけない壁が待っていそうだ。(記者コラム・後藤 茂樹)