「思い出づくり」の甲子園代替大会より大切なものは? 空回りする善意と、球児の未来…

引用元:REAL SPORTS
「思い出づくり」の甲子園代替大会より大切なものは? 空回りする善意と、球児の未来…

史上初の選抜高等学校野球大会の中止、戦後初の全国高等学校野球選手権大会と、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、かつてない状況下にある高校野球。日本高野連(高等学校野球連盟)が、第92回選抜高校野球大会に出場予定だった32校を招待して行われる2020年甲子園高校野球交流試合の開催を表明し、各都道府県高野連が夏の大会の代替大会を独自開催することが決まるに至って、世間は「野球を奪われた球児の救済に安堵する声」にあふれた。一方で、甲子園やその代替大会とは関係なく、新たな道を歩き出している高校球児もいる。

(文=広尾晃、写真=KyodoNews)

交流試合、代替大会の開催は妥当な着地点だが……

甲子園の「交流試合」は、昨年の秋季大会などの成績で決まっていた「春の甲子園の代表校」を招いて1試合ずつ試合をする形式となった。さまざまな事情を勘案すると「これしかない」という感がある。

5月20日に夏の甲子園と地方大会が中止になった時点では、都道府県の高野連が代替大会の開催を個別に決断することになっていた。関係者の話によると、この時点では「学校の授業も始まるので、代替大会の実施も厳しい」とする地方が多かったようだ。筆者の知るところでも「断念する方向」という都道府県が結構あったのだ。

5月25日、現実的な判断として福岡県高野連が、代替大会の中止を発表した。

しかしそのころから「何とかして球児に野球をやらせてやりたい」という声が澎湃(ほうはい)として起こった。そうした声に押されるように各地の高野連を取り巻く情勢も様相が変わってくる。当初、断念するつもりでいた地方なども、代替試合を実施する方向に傾いた。

教育委員会や県、市町村から「やってはどうか」という声も入ってきたようだ。こうして全国の高野連は、ドミノ倒しのように「代替大会をやる方向」に方向転換したのだ。

日本高野連と朝日新聞社も各高野連の補助金を出すことを決定した。

いち早く代替試合の中止を決めた福岡県も、教育委員会との話し合いがもたれ、中止の発表を撤回し、実施する方向との発表があった。

高校野球ファンや関係者の熱意、尽力で、甲子園での交流戦や、地方の代替大会の実施が決まったというわけだ。

こう書くと、いかにも麗しい話のようだが、そうとは言い切れない部分がある。次ページは:高校球児の思いは一色ではない

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