「ウィズコロナ」で求められる指導者のあり方とは

「ウィズコロナ」で求められる指導者のあり方とは

 コロナ禍で延期されていたプロ野球が6月19日に開幕し、3カード9試合を終えた。一方で、高校、大学、社会人などアマチュア球界は対外試合こそ解禁されたものの、春夏の甲子園をはじめ、多くの大会が中止を余儀なくされた。中学や学童野球の現場も同様。プレーする場を奪われたという意味では、プロよりもアマチュアの方が深刻といえる。

 巨人や横浜(現DeNA)で内野手として活躍し、現在は江戸川大学社会学部で客員教授として「スポーツ指導者論」を担当する仁志敏久氏を5月下旬に取材した。侍ジャパンU12の監督も務める仁志氏は「(ステイホーム期間中に)ずっと家にいるとスポーツから離れてしまうので、興味も薄れてしまう」と指摘。野球の競技人口のさらなる減少を不安視した。その上で、指導者のあり方として「伝え切れていなかった楽しさや、楽しむ方法をもっと考えて、寄り添う期間を長く考えた方がいい」と切に訴えた。間違いなく、これまでとは異なるアプローチを求められている。

 そこで、興味深いデータを目にした。日本工業大学共通教育学群の松井克典准教授が「新型コロナ禍での休校・自粛中に野球の指導者として起こした行動に関する調査」を実施。小、中、高、大学の監督・コーチ合計153人にアンケート調査を行った結果、(1)86・3%の指導者が選手やチームの活動のために何らかの行動を起こし、(2)98・0%の指導者が野球のために自己啓発を行ったという。

 (1)の具体例としてはLINE等のSNSでトレーニングメニューの配布、Zoom等のウェブ会議システムによるミーティング、練習日誌をつけさせる、全員と個別に電話でコミュニケーションを取る、など。(2)は動画による技術研究、読書、技術や戦術の見直し、仲間の指導者とオンラインで情報交換、などが多く挙がった。松井准教授は「指導者の皆さんは、ステイホームの期間も自分の選手たちのことを普段以上に思い、行動し、自分の自己啓発に努めた“成長した時間”になったのではないだろうか」と分析した。

 感染拡大の収束はまだ見えないが、対外試合が再開されたことで、指導者と選手にはステイホーム期間中の取り組みの成果が試される場が、徐々に生まれている。そして、指導者には「ウィズコロナ」の今後も、選手に寄り添い、自ら学ぶ姿勢が求められるだろう。(記者コラム・大林 幹雄)