本紙評論家・加藤伸一氏がパ・リーグ同一カード6連戦の勝負の分かれ目を分析 1,2戦目のインサイドワークが重要に

引用元:東スポWeb
本紙評論家・加藤伸一氏がパ・リーグ同一カード6連戦の勝負の分かれ目を分析 1,2戦目のインサイドワークが重要に

【インハイ アウトロー 加藤伸一】パ・リーグはレギュラーシーズンでは異例となる同一カード6連戦の第1ラウンドを終えた。ロッテがオリックスに6連勝する極端な結果も出た中で、今後を見据えてどんな対策をすべきなのか――。本紙は因縁の対決でもある西武VSソフトバンク6連戦(メットライフドーム)に注目。現役時代に南海、ダイエー、広島、オリックス、近鉄で投手として活躍し、ソフトバンクで投手コーチを務めた本紙評論家の加藤伸一氏に分析してもらった。

 昨年のCSファイナルステージ以来の顔合わせとなった西武とソフトバンクの6連戦(メットライフドーム)は4勝2敗で昨季のリーグ覇者に軍配が上がった。

 西武の勝因となったのは4番・山川の大爆発だった。6戦5発。実に12打点を叩きだした。第2戦で今季1号を放つと、第4戦では2打席連発。第5戦では決勝の逆転3ラン、第6戦では同点弾と大暴れし、3連勝フィニッシュに貢献した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が大幅に遅れ、感染リスクを減らすために編み出されたレギュラーシーズンでは異例の同一カード6連戦。CSや日本シリーズなどの短期決戦と同様、大砲タイプの選手を乗せてしまうと、今回のソフトバンクのように痛い目に遭う。

 同時に逆のことも言える。対戦相手だけでなく球場も変わらないことから気持ちや頭の中を切り替えることができず“逆シリーズ男”のようなインケツになってしまう打者も出てくるだろう。

 そこで重要性を増すのが1、2戦目での捕手のインサイドワークだ。従来の3連戦でも初戦は大事で、勝ち負けだけでなく2戦目、3戦目に生きてくるような“餌まき”が求められる。同一カード6連戦となればなおのこと。1、2戦目で強打者に内角の意識付けがしっかりできれば、その後の対戦で優位に立つ可能性が高まる。

 古い話になってしまうが、シュートを武器にしていた私は南海時代、ブーマーや石嶺和彦さん、簑田浩二さん…と右の強打者が並ぶ阪急戦になると、よく3連戦で初戦の先発を任された。当時の首脳陣にしてみれば、初戦で加藤が死球を恐れず内角を積極的に攻めてくれれば2戦目、3戦目で投げる投手が楽になる…との考えもあったのだろう。

 昨今では各球団の主力選手が侍ジャパンで同じユニホームを着る機会も増え、昭和のプロ野球のように“切った張った”の世界でもなくなってきた。しかし、いつの時代でも勝負の世界で大切なのは勝つこと。真剣勝負だからこそ、ファンも魅了される。「勝つためには当てても構わない」などと野蛮なことを言うつもりはないが、強打者にとって死球は付き物。よほどの悪意でもなければ恨まれることもない。投手が内角に投げ込めなければ、相手打者に踏み込まれて致命的な長打を浴びるだけ。それは元号が令和になっても変わらない。結果は数字となって表れている。

 今回の対戦では、どうしてもソフトバンクの投手が逃げて打たれてしまったように映った。一方の西武は投手陣に攻める姿勢が感じられた。これは捕手の森によるところが大きい。特に1、2戦目で徹底していたのが、柳田に対する内角への意識付けだ。本塁打こそ2本献上しているが、6試合で対戦打率2割2分7厘、2本塁打、4打点。バレンティンも打率1割4分3厘、2本塁打、3打点と抑えた。西武はもともと“打ち合い上等”のチームで、昨季はリーグワーストのチーム防御率4・35だったことを考えれば万々歳の結果だろう。

 今季のパ・リーグの異例の戦いの中で、もう一つ重要なのは捕手のケアだろう。今回の対戦でいえば強力打線を相手に6戦とも先発マスクをかぶったソフトバンク・甲斐の心身のストレスは計り知れない。時には配球の傾向が悪い方に合ってしまうケースがある。抑えている時はいいが、各チームともに状況に応じ、これまで以上に早い段階で別の捕手を起用して切り替える必要もあるのではないだろうか。ちなみに今回の6連戦で同じ捕手が先発マスクをかぶり続けたのは甲斐と楽天の太田だけだった。

 誰もがレギュラーシーズンでの同一カード6連戦は経験がない。ロッテがオリックス戦で6連勝したように、極端な結果になる可能性も十分にある。しかし、まだまだペナントレースは始まったばかり。残念な結果に終わったチームも十分に巻き返すチャンスはある。

 まず大事なのは自分たちの戦いをすること。2勝4敗と負け越したソフトバンクでいえば、最初に一番強力な西武打線と戦ったことで出てきた課題をバッテリーでつぶしていけば、今後の戦いに生きてくるはずだ。東京スポーツ