プロ野球開幕!炭谷選手会会長 特別寄稿「絶対に下を向くことなく120試合を戦い抜きます」

プロ野球開幕!炭谷選手会会長 特別寄稿「絶対に下を向くことなく120試合を戦い抜きます」

 新型コロナウイルスの影響で開幕が3月20日から大幅に延期されていたプロ野球はきょう19日、当面は無観客ながら国内主要スポーツの先陣を切って全国6球場で開幕する。長引く自粛生活から正常化への第一歩。日本プロ野球選手会の炭谷銀仁朗会長(32=巨人)は12球団の全930選手(育成124人を含む)を代表して「2020年 開幕宣言」を特別寄稿し、12球団の選手会長も協力してメッセージを送った。

 2020年6月19日。当初予定から3カ月遅れとなりましたが、さまざまな方々のご尽力、そして多大なサポートもあり、プロ野球は開幕日を迎えることができました。選手を代表し、感謝します。

 今年も2月1日に各球団がキャンプインしました。その時点では、こんな事態を誰が予想できたでしょう。その後はグラウンドだけでなく、私生活でも当たり前のことが当たり前でなくなっていきました。東日本大震災が発生した2011年以来9年ぶりに開幕も延期。チームとして満足に練習できない状況にも置かれ、全ての選手が思ったことでしょう。「普通に野球をやれていた状況が、どれだけ幸せだったか」と。

 未知のウイルスの猛威の前に、僕たちは無力でした。日々、報じられる感染者の数や訃報…。東京五輪は1年延期され、高校野球やインターハイが中止になるなど多くの高校生が目標を奪われました。勝って笑うことも、負けて泣くことさえもできず、青春の一ページが空白になってしまう。その悲しみの大きさは想像すらできません。自主練習期間には僕を含め多くの同僚たちが「野球をやっていていいのか…」と自問自答しました。「自分には野球しかない」と自らを納得させようにも感染は拡大の一途。戸惑うばかりでした。

 大切な存在を亡くされた方もいるでしょう。まだまだ娯楽に目を向けられない方も多いと思います。現在もウイルスが完全に終息はしていません。そんな状況下にもかかわらず、今回、僕たちはプレーするチャンスをいただきました。医療の最前線で奮闘される関係者の方々、各方面で開幕に向けて尽力していただいた関係者の方々のおかげであり、本当に感謝しかありません。

 「プレーで夢や希望を与えたい」と軽々しく言うことはできません。だから僕たちは誓います。命懸けでウイルスと闘う医療関係者の方々のように、涙を拭って未来に向けて歩み始めた小中高生たちのように、絶対に下を向くことなく120試合を戦い抜きます。現在も行動が制限されるなど我慢の生活を強いられている皆さまが、少しでも笑顔に、元気になっていただけたらうれしいです。

 いつも背中を押してくださるファンの方々は、今はスタンドにいません。でも、心の中で存在を感じることはできます。プロ野球が一丸となり、ようやくたどり着いた6・19は単なるシーズンの開幕ではありません。輝かしい未来に向けたプレーボールです。ともに歩んでいきましょう。 (読売ジャイアンツ捕手)

 ◆炭谷 銀仁朗(すみたに・ぎんじろう)1987年(昭62)7月19日生まれ、京都府出身の32歳。平安では高校通算48本塁打。05年高校生ドラフト1巡目で西武入団。06年3月25日のオリックス戦で高卒新人捕手51年ぶりの開幕スタメン出場。13、17年に侍ジャパンでWBCに出場。FAで19年から巨人に移籍。1メートル81、98キロ。右投げ右打ち。